さて、問八で追加解が大量に増えた経緯をお示ししたいと思います。
すでにグリグリさんからアナウンスのあった通り、問八の元となっているのはアーカイブズ
複数の郡にまたがる市、複数の市を生んだ郡です。
そして、当初の想定解22と言うのは
[42705][42788]BEANさんがまとめられた一覧の中から4郡以上書かれている市の数になります。
ところが、元々の話題は「3郡以上」であるのに対し、グリグリさんの想定した共通項が「4郡以上」であったため、内容に微妙なずれが出てしまっていたのです。
まず「郡」の定義については、アーカイブズ中の記事では「明治の郡整理」以降のもの、となっています。これはとりあえず問題ありません。
(私が郡統合ではなく郡整理としているのは、富山県では同時期に郡の分割が行われていたり、新潟県では郡統合と郡界変更が同時に行われていたり…と言った事例が見られるためです)
次に、「郡の範囲」と「合併された時期」を定義する必要があります。
「郡の範囲」は「合併時点で丸々1町村以上の範囲があるか、あるいは部分合併だけか」、「合併された時期」は「その市に直接合併した町村を対象とするか、その市に直接合併した市町村の過去の合併に関与した町村まで対象とするか」が考えられます。
BEANさんの一覧は「合併された時期」は特にこだわらずに「郡の範囲」が1町村以上の範囲であるもの、がピックアップされています。
ただし、3郡であれば良かったのですが、4郡以上ではまずい事例が混ざっています。
それがお題に含まれていた「小千谷市」。
実は小千谷市を見つけてきたのは私です。そしてその記事(
[42720])には、
ただし、古志郡は1行政区域のうちの1部分が加わったものでしたが、三島郡は1町まるまる入っているようです。
と、古志郡は1町村に満たない部分しかない旨書いています。
ついでに言うと、お題中では大田市も似た事例(邑智郡からは部分編入が3件)でした。
さらに、問八のお題中には下呂市(下呂市に合併した町村は全て益田郡だが、それらの町村の合併履歴を見ていくと他の郡から1町村単位で合併したところが計3郡分あった)がある。
問八はこれら3市をお題に含んでいるため「過去の履歴に至るまでの部分編入まで調べて想定解に入れないと、問題としておかしいことになってしまう」事になっていたのでした。
一方、アーカイブズ中の記事には、
[42705]BEANさん
1市町村未満の小さい領域変更はほとんど無視しています。
ただし基準にあいまいなところがあるので、(見落としもありうるので)異議があれば30時間以内にお願いします。
[42775]EMM
ただし、郡時代の追跡が完璧でないような気がするので、まだあるかもしれません。
なお、これから合併する市に関してはパス。
…と言った断り書きがある(自分で書いた部分はすぐ思い出した)ので、もう一回きっちり調べる必要がある状態であった、というのが詳細な調査を行ったそもそもの発端です。
ちなみに、もう一つ「何を使って調べるか」が問題となるかと思いますが、例えば官報まで突き詰めて調べていくと厳密な結果が出るのでしょうが、そこまで調べられる人は限られるでしょう。
アーカイブズ中の記事ではBEANさんや私が
行政区画変遷一覧表を資料として使用しており、十番勝負に参加している皆さんも容易に利用出来るものでもありますから、基本的には
行政区画変遷一覧表で調査可能なものを対象とするのがよいだろう、と考え、グリグリさんにもそのようにご提案しています。
ただし、後述しますが官報での詳細調査を行わないと決着が付かないものも数例出てきています。
長くなりましたのでまとめますと、問八の共通項は「明治の郡整理以降の郡に関して、合併された時期の新古・範囲の大小に関わらず4郡以上を市域に含む市で、行政区画変遷一覧表で確認可能なもの」と言うことで整理し、それに基づいて調べた市をグリグリさん・いっちゃんさんに提示させて頂きました。
さて、調べていく中で問題点が2つ出てきました。
1つは、調べるのに結構手間がかかること。
言い訳ではありますが、1人で調べてると、どうしても「その市に合併している市町村の、過去の合併の経歴」で見逃しが出てきてしまうんです。
(アーカイブズ中の記事の時点でも、BEANさんが中心となって複数人が調べた結果がまとめられた形となっていますし)
最初に12市を追加解を提示したあとに見逃し(府中市・佐野市・一宮市)が明らかとなり、再度調査して4市新たに提示(見逃しだった京丹後市含む)、さらに見逃し(川崎市)が見つかったので再々調査してもう2市提示…と、結局3回にわたって追加する、と言う結果になってしまいました。
もう見逃しはないつもりなのですが、まだ自信がない…
もう1つの問題は、調べていく中で「グレーゾーン」の市が出てきてしまったこと。
具体的には「別の市からの部分編入・境界変更があり、その部分の郡域がよく分からないため判断が保留されるもの」「同じ組合せの市町村間で境界変更が2回以上有り、最終的に元に戻ったのか、一方に寄ったのか、双方に元々相手方だった部分が残っているのか…の判断が困難なもの」が挙げられます。
最初に見つかったグレーゾーンは足利市でした。
群馬県山田郡からの部分編入と群馬県太田市との境界変更があり、太田市から若干加わっているはずの部分の旧郡域が分からなかったので3郡か4郡か判定出来ませんでした。
で、そのまま「グレーゾーン」としておいてあったのですが、途中で88さんから調査協力の申し出を頂きましたので、本件について詳細な調査を行って頂きました。
その結果足利市については3郡からなるという結論にいたり、グレーゾーンから外れることとなりました。
ただ、この時に相方となる太田市が正答となっていたのをグレーゾーンに変更すべきだったのですが、そこまで頭が回っていませんでした。
後にYSKさんからのご指摘と88さんの詳細調査により太田市も3郡であることが明らかとなり、クロージング後に○から×へと変更されることとなったわけですが、この太田市に関しても、アーカイブズ中の記事をご覧になって頂ければ分かりますが、発端は小千谷と同様やはり私です。
Gさんにはご迷惑をかける結果となってしまい、申し訳ありません。
そして、正答かグレーゾーンか判断の付きかねるものが、もう1組ありました。
それが小樽市と石狩市です。
単純に見ると両市とも3郡からなる市なのですが、その他に小樽市と旧石狩町の間で2回境界変更があったことが行政区画変遷一覧表に記されていました。
この境界変更の内容次第で両方とも○・両方とも×・いずれか一方のみ○の3つの可能性があったのですが、それを知るためにはより詳細な調査が必要となります。
これらに気づいたのが8月10日で、私は11~13日旅行に行く事になっていたため、私から88さんに小樽市と旧石狩町間の境界変更の詳細調査を依頼し、その調査結果をグリグリさんといっちゃんさんに送付してもらい、お二人に最終判断をして頂きました。
よって、石狩市が問八の正答に含まれた根拠は「私の行政区画変遷一覧表の調査結果」+「88さんの官報情報検索サービスによる調査結果」、と言うことになります。
しかしながら、
[53452][53458]北の住人さんの書き込みも踏まえると「現在、小樽市には旧石狩町だった部分はあるが、石狩市には小樽市だった部分は残っていない」と考えるのが妥当と考えられます。
この件については88さんと意見交換した結果、「小樽市は○、石狩市は×」とし、現時点での問八の想定解数は42とするのがよいのではないか…と言う結論となりました。
これらの調査結果のデータは表形式にとりまとめてありますので、別稿にてご提示させて頂く予定です。
ただし、現在まだ残っている微妙なところの詰め&きわどい事例の次点と思われるグレーゾーン市の確認&特殊なグレーゾーンの事例に関して88さんに調査のお願いをしてあります。
その結果を頂いてからデータの提示をしたいと思っていますので、今しばらくお待ち下さいますようお願い申し上げます。
[53495]紅葉橋律乃介さん
グリグリさんが書かれているには、何か根拠があるはずです。問題の元になった記事([42705])には3郡しかありませんから、ぜひ4郡の根拠をお教えいただきたいと思います。
石狩市が正答に含まれた事情は上記の通りで、
[53442]88さんの記事中にある自治省告示がまさにその根拠だったのであります。
しかし、それではまだ検証が十分ではなかった、と言うのが88さんと北の住人さんの一連の議論によって明らかとなった…と言うことでした。
ところで、ここまで細かく調べる必要があるんですかね…?
本来の想定解は行政区画変遷一覧表で確認出来るもの、と言うことで整理したのですが、この石狩市の事例は数少ない「そこまで細かく調べないと決着が付かない事例」だったのでした。
※接続詞の修正
※※誤字訂正